ワンナイトタイムスリップ

 

 

 

先日、中学の同級生と9年ぶりに遊んだよ。

わたしの中学は特殊で、併学、といって、女子校と男子校が同じ敷地内にあるような、一切男女の交わらない仕組みの、意味不明の制度を採用しておりまして

だから わたしは女子校育ちって言っても差し支えないんですよ

みなさん 女子校出身者と話したことがあればわかると思うんですけれども 特殊なんですよね彼女たちって、まあわたし含めかもしれないが

中高一貫の学校だったんだけどもわたしは、高校受験をして 驚愕かつ共学の公立高校に進んで、そこでの苦悩というのはたびたび披露していると思うんですけども

 

中学を卒業して以来 ずっと会っていなかった彼女たちと、遊んだらまあ、変わってなくて。すっげーーー安心してしまったというお話なんですよ、今日のお話は。

 

ユニーク かつ 完璧な 個人として 彼女たちは生存しており、この世の中で、自己を失わずに、ほとんど奇跡と思われるほど、中学生の頃のままで、優しく、我が強く、陽気で、共学の女子よりも男性的で。

彼女たちは 高校も内部進学したから、高校の頃の思い出も共有しているはずやのに、わたしのために、中学の楽しかったことごとを喋り、笑い、大いに笑い、高校時代の話が出れば、わかりやすいように、ときには学校のHPを参照して説明してくれ、決して置いていこうとしないんです、わたしは、行く前はめちゃくちゃ気後れしていて、彼女たちのような陽キャに、混ぜてもらっていいのかと、ほんとうに今思うと馬鹿みたいなのだが、恐縮していて。

 

中学生の頃の わたしを含む彼女たちに、インキャも陽キャもないのに。

一緒に重要な時代を過ごしたのに、勝手に恐縮するなんてほんとうに馬鹿馬鹿しいよな、そういう自信みたいなものを、確固たる自分を、あの素晴らしくお堅い学園に、置いてきてしまったのだわたしは。

 

 

ネクタイをぐるぐる巻いて短くするのが流行りだった、馬鹿げた重さの皮カバンの持ち手の片方だけを肩にかけるのが流行りだったためみんな持ち手をダメにした、しかしその流行に逆らった彼女のカバンは綺麗なままで、途中から導入されたリュックはダサくて誰も使わなかった、買い食い禁止なので 駅前のスタバに行くには先生がいないか見張りを立てる必要があった、「挨拶」を執拗にテストに出してきたネチネチした国語の先生、グラグラ不安定なみんな同士の友情、股を広げて椅子に座るのが当たり前の女の子たち、ああ…

 

失ったものを一夜だけ取り戻した、9年の月日を一瞬で逆行した、あの夜のわたしは、タイムスリップができた。

 

わたしを構成したのはまぎれもない彼女たちだった。1年8組の、2年7組の、3年7組の彼女たちみんながつくる雰囲気だった。

9年でジリジリ削られてきたあの頃の自信満々なわたし、存在することになんの躊躇もなく、誰かに不要とされることなんて微塵も恐れない、強い強い強いわたし。

 

残りカスみたいな自分でも愛そう。

さっきまであんなに青かった空が雲に覆われてねずみ色に変わりつつある。

なんだって変わるのだ。また戻ってくる可能性もぜんぜんなきにしもあらずさ。

 

おつかれさまあ