元日にソウルで恋をした話

 

 

 

恋愛というのはいろいろあると思いますが

あ、待って!

これを言わなきゃ始まらねえ 真剣な俺のeyes 高らかに宣言始まりの合図 俺のなけなしのライフ 削るこのライブ yoyo

えー、みなさま明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします

 

ということで 恋愛というのはいろいろあると思いますが 一目惚れっていうのは不思議なものですね

わたしはたいへん惚れっぽいので すぐに「かっこいい!」と、道行く人を見てなるのですが、久しぶりにガチ一目惚れをしました

ソウルは仁寺洞のランチ屋さんで ピッカーン!ときました

 

以下 ピッカーン!までの簡単なハイライトです

 

待たなあかんのか人気店やな、あ店員さん出てきた、おお横顔、鼻高くて素敵!イケメンおる、最高

ん、正面から見るとそこまでやな、ちょっと松山ケンイチに似てる、あでもやっぱりかっこいいかも、足細いな、まあそこまでかな

子どもが彼にアイコンタクトを試みる、あ 気づいた、うそ、そんな顔で笑っt……ピッカーン!

 

あの 子どもに向けた微笑みみたいなもの 片頬を上げただけなのにふわっと広がる優しさ!

完全にだめでした 抗う術などない ギャンッと好きになりました

わたし達親子を席に案内してくれて、「Where are you from?」に「Japanese!」と答えるわたし、オケッと言って日本語のメニューを持ってきてくれるその……机に………木の板が表紙のメニューを置くときの…………仕草が洗練されていてホストクラブに来たのかと…思っああ…去り際に笑顔も置いてってくれるのですね…メニューのように……

 

そこからはもう追い通しですよ

店内を忙しなく動き回る彼をずっと目で

途中、階段を上って事務所かなにかに引っ込んだときはシフトを終えて帰るんじゃないかとソワソワし通し、おかげで食事も喉を通りません、そりゃそうです胸がいっぱいなのだから

母はしきりに「写真撮ってってお願いしたるわ」と言いましたがわたしはもちろん断ります、理由は「ガチの反応をしてしまうから」

わたしは タイプすぎる人を目の前にしたら 場所もなにも周りの目も構わず、相手の立場も構わず、ガチの反応をしてしまうのです

彼が階段を降りてホールまで戻ってきてくれたときは大いに喜びました、ええ喜びましたとも

口紅を塗り直しさえしましたとも 帰る直前には彼の声を聞き分けられるようにさえなりましたとも

お会計は偶然か必然か彼が担当してくれ…それも食器を運んでたのにわたし達がレジを探していたらすかさず!気づいて伝票を受け取ってくれたの…はあ……好き…

母親が最後のチャンスをくれるわけです、「写真撮ってって言ったろか?」あれ、どうやったやろ、わたしが申請したのかもしれない「ママ…写真撮ってって言って…」と!

よしきたと母親、レジからお札を取り出し渡してくれる彼に言います、「ピクチャー、オーケー?」彼は不思議そうな顔で「僕が撮るの?今?」という顔をしますが母親が「ううん、娘とあなたの」ということを仕草で伝えて寄越しましてそのときの……顔………

「あー、オケ オケ」

実際には韓国の人はカ行が濁りがちなので「おげおげ」だったのですがそれがまた…もう……よくて。誰や韓国人のカ行濁らせた人。マッコリ千本あげたい。チヂミもつけたい。愛くるしい。

「あー、俺と写真ね、しゃあないなあまあ一応は嬉しいやん」みたいな顔ですよ、でもぜんぜん嫌味じゃないんですよ、やばいな、今考えてもやばいな、なんて最高なんやろう

ほんで肩に手を回されからのパシャからのサンキューっ!ですよ

お店出た瞬間母親と大はしゃぎですわ しっかりガチの反応もしましたわ

「あー緊張したー」「やばい!好き!」「断られたらどうしようかと思った!」「かっこよすぎる!やばい!緊張した!」「断られたら傷つくやろな〜と思って気が気じゃなかったわ」「ほんまにママありがとう!」「いや〜、やばかった」「ほんまにやばかった…」

周りの目も気にせず大はしゃぎですわ こりゃ参った元日からおめでたいことで

そっからしばらく放心状態ですよ、仁寺洞の街なんて見えません、雑貨なんて目に入りません、これお土産どう伝統的な封筒、そんな母親の声も耳に入りません

またお店に戻りたくてしゃあない、ため息を何度ついたことか、こんなことってほんとに、恋のため息をつくのが久しぶりすぎて、実に四、五年ぶりの恋のため息でした、びっくりしますよほんとにもう

 

そう、だからまあ恋なんですけど

まったく 発展する可能性がないじゃないですか

だからなんも考えずに 好きになれるというか

ほんまに好きなんですけど、べつにインスタ見つけてDMどころかフォローさえしたいと思いませんし、まったく現実的じゃない恋なんですけどぜったいに恋なんですよね、これは

恋愛ではないのは 確かだと思うんですが

 

不思議なことに 表情でわかるんですよ その人のことを

信用できるとか 好きなタイプやとか 素敵な性質を持ってるかとか いろいろ

この話は友達ともしてて、やっぱりその友達も「人柄は顔に出る」と言ってましてまあわたしの顔に出た人柄の評価は「だらしない」だったんですけど当たってるので置いといて

やっぱり、合う合わへん好き好かんは顔を見たらわかります みんなも そうじゃないですか?

表情に滲み出る感情がありありとその人がどんな人かわたしに教えてくれる、誰も他に見てない子どもとのやりとりを偶然盗み見たわたしが彼の笑顔に彼の人間的な部分を見てしまったように

だから 一目惚れっていう言葉があるんでしょうね

まあわたしの場合は一方的なアイドル化でしかないので 正しい意味での一目惚れとは違ってくるのかもしれませんが

本当に顔からなにからまるごとタイプの人に はじめから関係性が恋愛モードの状態で受け入れてもらおうとするのは恐ろしいですからね

 

帰りの飛行機、きらきらきらきら光るソウルの街を上から眺める

ちっちゃくなったビルも 道路もぜんぶ平らに地面にへばりついていて ああ この光のなかにあの店員さんもいるのだろうなと考えるのは少し うきうきすることでした

いや きもいとかもう今更 どうでもいいんです なんし女版童貞なんで

低い声も締まった身体も優しいのにイケメンさをテーマとした笑顔も ぜんぶ飛行機で1時間半の距離に存在し続けてわたしが、忘れても健やかにあり続けるのだと思うとなんだかぽわぽわした気分になってしまう ぜ

 

まあお店のインスタから飛んだ彼のインスタには見事に彼女とのツーショットが載ってたわけなんですが

 

物事はそううまくいきません

あしたのおみくじ なにがでるかな

おやすみなさあい