夜のキラキラ

 

 

 

「夜」に隠れればなんでもできるのが日本やと思う。

どんなカオスも お天道様が沈めば許される。

 

さいきん、ちょっとのあいだ上本町に住んでたん。

常日頃から アンチ奈良、とゆーんでもないけど 奈良出身と言うのが嫌いでできれば大阪出身ですと胸を張って言いたかったので とっても楽しかった。

やっぱり 田舎のコミュニティには属せなかった私には 都会のほうが嬉しいなって再確認したほどだった。

上本町は よいとこだ。

戦後は いわゆる"トルコ風呂"がたくさんあったアングラ的な土地やったらしいけど、いまはとくになんにもない。

なんにもない代わりに とにかくアクセスがよい。

ミナミにほど近く ちょっと歩けば空堀商店街があり 松屋町(まっちゃまち って打っても出てけーへんねや!)にぶち当たったり 坂を下れば鶴橋、チャリンコ借りたら梅田にすぐ。

なにをするにもいいとこやんな と思う。

とくに、外出自粛期間中、公共交通機関を使わんでもいろいろお散歩に行けたのがむっちゃよかった。

 

出鱈目に歩けば道頓堀。

道頓堀のお堀のとこじゃなくて、地名の道頓堀のとこ、たぶんソエモンチョウ(←なぜか変換できない)に近いところやと思うねんけど

私にはあそこらへんが世界でいちばん怖い。

何回歩いても怖い。幽霊とかの怖さじゃない。

「唐突に日常が終わる」感じがとってもとても怖い!

言うなれば崖。

その理由は、韓国語のみ、中国語のみで宣伝文句が書かれたお店ばっかりが突然現れるから。

日本人用じゃないことがありありとわかる。お店のかたちも日本式のそれじゃないし。

感じるのは、「自分が知ってる大阪じゃない!」ってこと。

得体の知れないものを売ってる店々に人影はなくて、そういう外見自体が、「ふつうに店先に訪れても客にはなれないんやろうな」って印象を私に抱かせ、客になるための別ルートが用意されていることも怖い!

人通りも多くないし 私がふっとおらんくなって臓器売られても誰も気付かへんねやろなとか思ってビビっちゃう。

刺青の人も多い、私は刺青やタトゥー自体にビビるんじゃなくて 追加要素にビビっちゃう。

「金髪で刺青」までやったらまったくいいねんけどそこに「締まりのない顔、だらしない表情」が加わるとまじで怖くなっちゃう。

そゆひとが散見できんのも怖い。

 

"本格"中華料理のお店も 夜になれば本格的に動き出すんやろう、とか ちょっと歩いてぶちあたる、昼間にはただ汚い街並みとしか形容できないような風俗・ホスト・キャバクラ街も夜になれば吸い込んだエナジーをギラギラに発散させて輝くんやろうとか

 

思うときに思い出すのは 千と千尋の神隠しやなあ

夜になったしゅんかんに 街に光が灯って神様や幽霊?たちがそこここから現れ 遊び倒す、あの街は。

なんら特別じゃなくて、ふつうのどんな街にもあるやつやん。

 

日本古来の妖怪は 夜の活気に当てられて 欲望を解放する人間の姿なんかなあとか。

 

都会はカオスだ。

オカマの人も 外国人も いろいろ 日本におけるマイノリティの人たち、こういう言い方すんの嫌やけど「存在を許される」のは、夜の暗闇のなかの欲望のさなかだけや、って考えられるんやないかな。

どぎつい化粧も コスプレも 露出の激しい服も 外国語も 街中で振り返られるほど目立たないのは 夜のなかだけなんかもしらん、日本では。

 

いろんな外国で お酒は夜何時まで って法律で決められてるけど 日本にそれがないのは

お日様があがる時間帯より 夜をお酒で過ごすことのほうが 楽しくて気が楽な人がたくさんいるからなんかな。

 

私はマイノリティでもないし お日様好きやけど

歩いててふっと自由な気持ちになるのはいつも夜やしな。

日本がほんまに活きいきするのは 見所なんは 夜なんかもしらへん!

 

夜のなかではなにもかも許されるってのもちょっと恐ろしいとこもあるかもやけどね。

だからこそ惹かれちゃうのはあくまでそれが非日常やからやし、夜闇の一員になるのは ちょっと酔っ払った夜、浅い時間だけでじゅうぶんやな。