出がらし

 

 

 

最近それはもう鬱々と暮らしていたのだけれども。

 

このところ人間との相性がどうも悪いみたいで 嫌な思いばかりしている。

永遠に戦いなのかもしれないと思うし、そばにいてくれるのは冷たく突き放しながら同調し共鳴する女の友達だけなのだろうな この先、ずっと、という確信めいた気持ちがぽっかりと胃の中に浮かんでいる。

 

自分の魅力が、今まであったとすればいま、しゅうんと オーブンの中でしぼむ失敗作のシュークリームみたいにpuff!しているのだが。

それを人と会って叱咤してもらったり 話を聞いてもらったりしてなんとか 宥めようと その荒れ狂う自己否定の渦から逃れようと したが負け続けていた。

とにかく 見た目だけでも魅力的になってみようと思い 人生でいちばんストイックなダイエットを続けているところだ、とにかくたぶん足掻いている。

そんなことをしながら 昔の写真を見たり 何度も繰り返し観た映画を観て泣いたり しばらく離れていた いちばんの作家の本をまた読んでみたりしている日々、まるで亡霊だ。

 

誰かのニーズに 無意識かつ全身で応えていたはずの過去の輝く私の塊をなぞるような ナンセンスな ナイーブな今の私。

「なんか変わったね、もっと〇〇だったのに」と言いながら(〇〇の部分は明言されていない)SNSのアカウントを悉くブロックしてきた元彼とか

変わり果てた私のために戸惑って泣いて前の私を返せと言わんばかりにくれた友達とか

世界からまったく興味を失われて出がらしのような私、に興味があるかに見えて そうではなかった人とか

そのいちいち ぜんぶに 私は傷つき 今の私を否定していた。いつもの被害妄想、やけど。

まあたぶん 今も多少なりともしている。

 

私はしっかり傷ついたと思う。

「そんなこと言ってくる男が馬鹿だ」と女の友達に吐き捨ててもらって、少し癒えても、私は私にだけ意味の分かる範囲でずっと傷ついた。

 

東京に旅行に行って友人たちと過ごした以外、一人暮らしの私は毎日毎日毎晩毎晩すべてを反芻して何度でも傷ついた。

膿んだ傷を自分でぐりぐりやった。律儀なマスターベーションのように。

 

で、いま、PMS真っ只中、本来なら精神状態がひと月でいちばん悪い時期、に、まーーーいっか!と ぽんっと思った。

いまの私は亡霊だけども コロナのせいでどっち付かず 就職もできずに海外にも行けない フリーターをやろうにもシフトが削られ続けている し 男の人が周りにいないからWi-Fiの接続にさえまるまる1ヶ月かかってしまう けれども

まーーーいっか。そういう時期か。なんか。

いまの自分にできること、イコール ダイエット、をするか。それから考えるか。

と 降りてきた。江國香織の『いくつもの週末』を改めて購入し読んでいたら ぽんっと。すとんっと。

 

亡霊みたいにおばあさんみたいに一人ぼっちで枯れていてもいいっか。

毎日の楽しみが読書と 他人の世界一周ブログを読むこと ぐらいしかないけど いっか。

バイト先にまったく馴染めてないけど いっか。

なにかを相談できる友達がすぐにアクセスできる位置に誰一人としていないけど いっか。

 

悲しみが限界に達したとき はるばる会いに行けば会ってくれる友達おるし、

地元にひとりだけ当てはおるし。

 

けっきょく 妹がいなくて そこから今まで 忙しくやり過ごしてきただけなんやし。

 

亡霊でいいっか。

今はね。

そのまま25を越えたら それはあかんと思うけど。

24までは いっか。

23はそういう歳か。

 

出がらしの私はそう思うのだった。

 

いつか輝く実体を取り戻すそのときまでさよならだよ諸君。

カポーティの原作のほうのティファニーの女の子みたいになったらまた姿を現そう