おくそこ

 

 

 

催眠術かかりに行った。

楽しかった話は またする。

 

取り急ぎ 記しておきたいのは、催眠療法の導入みたいなやつをしてもらったときの話。

 

簡単に言うと、段取りは

それぞれの草原をイメージ→そこに扉があるイメージ→それを開けたらどこに出る?→さらに次の扉を開けたら?

ってやっていって、前世を見る(前世? ほんまに? 深層心理ってだけじゃなく?)というやつだった。

 

息が楽になる〜とか 身体の力が抜ける〜とか

普段なら え?ん?こわ?抜けんわ! て思ってまうようなことでも その時すでに催眠術かかりまくって準備万端だった私、その言葉に従ってソファにもたれかかって。

 

見たのは 野の花のたくさん咲いた草原。遠いところに砂浜、そして海。

ひとりぼっちで 赤くて王様用みたいな その場に明らかに不釣り合いな椅子に私は座っていた。

ときおり風がやってくる音。通り過ぎていく音。くるぶしほどの高さの草が、風に煽られる音。

空は、薄雲がかかっていて、時折 夕方のオレンジにも姿を変える。

ひとりぼっちだけども、母親も妹も会いに来てくれる、だから寂しくない、という気持ち。

催眠術士の 声の誘導に従って 私は草原で寝転ぶのをイメージする。

傷ついた草の、濡れた匂いが立ち上る。手の平にはその感触。

ふだん 時々 ほんとに時々感じる、自分はここにいてもいいのだという、風景の一部になっているのだ、という、感じ。

 

見たことない場所の、ありありと描写できる風景。

 

そうしてそこに扉が現れる。

金色に縁を装飾された、鏡でできた扉だった。

その鏡には自分は映らず、草原が映っていた。

扉を開ける。催眠術士は、ひとりでに開くと言ったが、私はそれを開けた。内開きのドアを。

 

すると、学校の廊下に出た。

私は制服を着ていて、だから、中学生の女の子だった。

おもてが晴れていて、校舎の向こう側から日が照っているので、室内は意外なほど暗かった。

小さな島の中学校で みんないるはずなのにひとりぼっちだった。窓の外の遠くには、用務員さんが見えた。しかし 意思疎通はできなそうだった。

場面は変わり、いつの間にか学校から出た私は夕方の島の住宅街を歩く。

お風呂の音、匂い、晩ごはんの支度の気配、ひまわり、でも、やっぱり誰もいない。

みんなが顔見知りなはずの島で、自分はひとりぼっち。

でも 帰れば兄弟も両親もみんないる。だから怖くない。

 

また扉が現れた。

それは鉄製の赤色をしていて、今度は外に向かって私は開けた。

宇宙、無重力。身体がふわふわ浮いている。

なにも見えずに漂って、自分の性別も形も自我もなんだか失われていく。

そこでもひとりぼっちの私は、しかし、急に強い感慨に襲われる。

あの星へ行かなければ。そうしたら会える。勢いこんでしまっても、包み込んでもらえる。

…………誰に? 知らんけど。

 

 

 

 

 

 

 

そうして それは終わった。

なんやったんやあれ?

知らんけど。

なんか おっちゃんの声に誘導されて、自分の奥に向かっていくのは楽しかった。

 

引くほど催眠術にかかりやすかった私だったので、もうなにが異常かそうでないかよくわからんかったけど。

自分のビジョンを発表して、そしたら周りの、一緒に催眠術受けてた人たちのも発表されて、あんまりにもみんな違うこと考えすぎてて面白かった。

馬に乗ってたイメージ、とか、空から落ちてしまうイメージ、とか、埃っぽいところにいた、とか。

みんな身体を抜け出して、自分の奥に落っこちてってたんやなって思うと、ちょっと怖い。

同時に それぞれに持っている世界があって、それをもっともっとたくさんの人の分聞きたいなって思った。

 

 

………でも、あんなに簡単に無防備になっちゃっていいんかな。

ちょっとな。あやし〜な。

とは思いましたとさっ

 

楽しい催眠術のお話は次します🤘