たび

 

 

 

ひとり旅を ちょくちょくちょく続けている。

今まで泊まった町は、

大津(滋賀) 敦賀(福井) 松江 鳴門 金沢 高松 葉山(神奈川)

そして今回、舞鶴に来ている。

お察しの通り、水辺にしか行ってない。それになんだか、日本海が多い。

いちばん好きな海はだんぜん、瀬戸内海なのだが 淡路島には手頃な宿が見つけられず、愛媛はなんだか 気分的な近さに対して実際の距離が遠すぎる感じがして 行かずにいる。攻めるべきは岡山、広島なのだが 母と訪れたことがあるし、後回しにはなっている。

そう、基本的にバス移動なのだ。

もう乗り物に乗ることがほんとうに好きだ。

 

なにがいいって、完全に受動態でいられるところ。

それも 積極的な受動態でいると とてもとても楽しめるところ。

流れている景色を見つめて、おもしろいものを拾い見して、地図アプリで調べてみたり

もちろんサービスエリアでは必ず下車してコーヒーを買うし

甘いものをつまみながら走る海辺や山のなか、

周りの人々は眠っているかそれとほぼ同じくらいスマホに没頭しているから、静かで

なにしろバスのうるさめなエンジン音というのが好きだし、

それらすべて、ほとんどの時間座っているだけで享受できる幸せ。

景色自体が、環境自体がずんずん色を変えていくのをただ見るだけで楽しめる、

ああ乗り物、私は乗り物が、移動が、大好きだ。

知らない町も好きだ。

自分の足で歩くことで 頭に感覚にインプットされる駅周辺の地理が好きだ。

町の雰囲気、匂いはどこも少しずつ違って、でも似ている場所同士もあって不思議だ。

 

地元の、お店の人の雰囲気や町の感じ、公共交通機関の便利さや 夜の猥雑さなどで 好きな町か好きじゃない町か決まる。

金沢は あまり優しい人に当たらなかったし 都会すぎて ひとりではあまり楽しくなかったのでそんなにタイプじゃなかった。

鳴門は なにもなさすぎて 渦潮を見、わかめうどんを食べたらすることも訪れる場所もなくなってしまったので好き嫌いを判断できなかった。

でもそれ以外の町はぜんぶ好きだ。

 

どれだけ田舎に行っても、スナックやバーの入った雑居ビルの集まる いわゆる夜の町というのはあるし、

どの田舎でも、商店街というのはほとんど100%あって、シャッターばかりが目立つし、

どの田舎の国道沿いにも決まったチェーン店はあり、

どの町でも 海辺にはぱらぱらと人が集っている。

 

しかし舞鶴

不思議な地形の町だった(だった、とするのはじっさい正しくない。だってまだ私はそこにいるのだ、それなのに私はもうこの町を訪れたことを過去にしている)。

地図で見ればわかるのだが、

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ひどく リアス式の湾だ。

なので、せっかく海に行ったって、その向こうの山が視界を遮ってしまい、海に元来人々が求める自由な感じがまったくない。開放感みたいなものがない代わりに凪いだ穏やかな海。

そして、そのために ひとたび海辺から離れれば、どちらが海でどちらがそうでない方向なのかがわからなくなってしまう。

どちらを向いても山、山、山。

少しのあいだ 途方に暮れてしまう。えっと今自分はどこにいるんだっけ、どっちに行きたいんだっけ、そもそもどこかを目指すんだっけ。

肝心の海は 田舎らしからぬ透明度、つまりあんまりクリアじゃない、とうぜんだ水が行き場なく淀んでいるのだから。河も緩慢でみどり色、そして朝から昼にかけてまだ寒い。

とはいえ町には海風が絶えず吹き、徳島の田舎みたいないい匂いがする。

 

観光の中心といえば、赤れんがパークというのがあり、そのすぐそばに海上自衛隊の基地があるため、そのあたりになるだろう。

しかしその赤れんがパークというのも奇妙で、赤れんがでできた倉庫の間にアニメの痛車が並んでいるのだ。

とうぜん、観光(?)客もアニメオタクが8〜9割を占め、コスプレをした人と小さなドール?っていうの?を持った人びとの数が半々、残りの1〜2割の家族連れは圧倒されている。

困惑。

かなり際どい絵のかかれた痛車だってあるのだ。

もちろん私は訪れる前から「艦これ」というものの存在を知っていたし、自衛隊の船がいっぱいおるということ、町自体がそのアニメ(アニメ?ゲーム?)を推していることもなんとなくわかってはいたが、

知らずに来たら困惑するだろう。

知って行ってもしたもん、困惑。

そのせいで せっかく乗った湾内観光クルーズ、30分のうち20分寝ちゃったもん。

そしてせっかくの凪いだ海なのに 自衛隊によって 住民はその恩恵をほとんど受けられないのだ。町に面する海岸はほとんど彼らが使っているから。

 

不思議な町だった。

お魚はめちゃ美味しいし、地元のスーパーで買えるお寿司で大満足してしまえるほどなんでも新鮮、大型ショッピングモールがなかったりチェーンの薬局が少ないおかげで地元のお店や個人の映画館(!)が地域密着で頑張ってる感じがするし、

たぶんバブル期にも 激しく観光地化しなかったと思われるのは、廃業になったホテルや旅館、レジャー施設が見当たらないからだし、

なんというか 地形的にはわりと閉鎖的でありながら 町の雰囲気はぜんぜん閉じていなくて、でもとくべつ みんな元気!て感じでも 町を盛り上げていこう!って感じでもなくて

観光してて背筋の伸びない いい感じの町だった。

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未だに 有害図書の回収ボックスがあるし。

 

まあ若者はほとんど見なかったけれども。

 

誰かと一緒に行くのには とくにおすすめしないというか 他にも行くとこあるんちゃう?と思うけど(代替案:伊勢志摩)

ひとりで行くならめっちゃいいし、たぶんまた来るなあっと思う町だった。

愛してやまない高松(ああ、高松!ほんとうに大好き)に 負けず劣らず………は言い過ぎやけども、とにかくまあ好きだった!

 

さあ次はどこへいこう。

葉山へは行ったけどいっしゅん過ぎて浜辺をしか歩いていない(地元民たちのあんまりにも行き過ぎた犬好きには引いた)ので 鎌倉や江ノ島にも行きたいな

静岡で しぞーかおでん 食べたいし

富士市で 富士山を視界に収めたままの生活を体験してみたい、

新潟でひたすらお米を食べる旅もしてみたいなあ

北九州の、すごく古い市場にも行きたいんやった。

もちろん行きたい尾道、自転車で走りたい しまなみ海道

そして コロナで断念した ひとり沖縄だって実現させなければならない。

青森の汽車ぽっぽの半島部分だってこの目で確かめなければいけないし、

そういえば北海道。この地 舞鶴から21時間、フェリーに乗って行けるのだそうだ。これはだんぜん、いちばん次に行きたい。

だってこないだ 高松→神戸の船旅を断念したところなのだ。

 

ああよかった、私にはまだ ひとりででも行きたい場所がたくさんある。

ひとり旅なんて、友達少なくて ぱっぱらぱーのプー太郎やからできるんやけどね!

若いうちに存分にぷらぷらします、35歳とかになったらちゃんとする予定です!!

世界にも行きたいところ山ほどあるしな!

 

じゃねえ〜

 

 

 

 

 

追記:舞鶴 舞鶴って言ってるけど、滞在したのは東舞鶴で、西舞鶴にも行ってみたら ぜんぜんまた違ったから ここで述べてるのは完全に東舞鶴について、ということになる