2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鋸で切ったその断面

弟は覚えているだろうか。 私が17のとしのころ、夏はこんなに暑くはなかった。つまり人を殺してしまうほどには。蚊さえも狩りに行けないほどには。 本家はすこし田舎にあって、探検していない道は山ほどある。田んぼのあぜ道は急に終わり迷路になりうる。…

すだち

部屋は静かだ、音はある。 家のすぐそばに国道が通っていて、深夜でも車通りは多く、とくに今ごろの時間帯であればたまに頭の悪い爆音カーも過ぎ去っていったりするのだった。 でもこの部屋のなかは静かだ。俺からは音を発さない。俺たちからは音を発さない…

ほんだな

単純明快 わかりやすいということはいいことだ。少なくともわかりやすいということは、わかりやすいという長所を持っているからだ。 深いだとか 難解だとか ひとことでは表せないだとか そういう 複雑なのは悪いことだ。少なくともわかりにくいという目に見…

おきゃくさま

するすると流れていく こぼれ落ちていく 消えていく ほどけていく毎日をなんとか手元へ残しておこうとつける日記は未練たらしい。 消費している自覚はあるけど 1日いちにちに手をかけ 体重を乗せて 明日へ明日へその明日へ進んでいくしかやり方を知らないの…

あれもしようこれもしよう

花柄のワンピースで街に出たい、とつねづね、考えていたのでそうした。 赤の地に白の小花の散ったワンピース、赤いリボンの麦わら帽子、そばかすのメイク、ヒールのあるサンダル。 見てもらう人を設定せずにするおしゃれは清潔。しゅらりと、立てる気のする…