所属することが苦手だ。
終始こればかり言っている、なのに、言い続けるのはたぶん寂しいからなのだろうが。
所属というのは安心なのだろう。
どこかや何かに所属していると、端的に、自らを表すことができるのだから。
今のわたし、何を聞かれても言い淀んでしまう。
「お仕事はなんですか?」「うっ……」
「ご趣味はなんですか?」「えっ……」
「休日はいつですか?」「あう………」
ちゃんと 社会に所属して、社会人になっていれば、顔色ひとつ変えずに答えられる質問だ。
いや趣味はべつに違うか……。
言い淀むのは わたしが自らを一言で表せないからだ。
ラベルの糊が定着しない表皮、制服を着ることのできない体の形、、、をしているといえばまあ聞こえはいいが。(いいのか?)
たんに、不適合なのである。
わたしを一突きで殺そうと思ったら、これを言えばいい。
「自己紹介してください!」
紫色のゲーを垂直に吐いて死にます。
誰かに端的に自分を伝える術なんて知らない………。
あれはほんとうに苦手だ。わかった!待って、苦手やから今から何言うか項目を決めておきましょう。
自己紹介といえば、まず名前ですね。そこから性別はたぶん言わんでいいから、年齢と出身地? 出身地のほうがいいのか、現在の居住地のほうがいいのか……。
話題を広げやすいのは出身地なのかもしれんが、いかんせん私は自分の出身地について何も知らないからな……。
まあいいや、じゃあ
「こんにちは、
いや自己紹介に挨拶は要らんか。
「あやです。年齢は24歳、出身地は奈良ですが奈良のことについては何も知りません。」
話題膨らまんな。
話題膨らまんで言えば、趣味というか好きなこと? してること。(してないことよりもしてることで自分を語る方がわかりやすさマシやろうから)してることは、読書。
読書という趣味ほど話膨らまんもんはないね。
ある日のマッチングアプリでのやりとり。
相手「ご趣味、読書なんですね!なに読まれるんですか?」
私「はい!日本の現代小説とか、海外のも読みます!○○さんはなにを読まれるんですか?」
相手「ビジネス書です!」〜fin〜
趣味についての会話、終了です。
そもそもが読書とかいうざっくりしたくくりが悪い。
共通点があるって錯覚させてしまう。
それに、小説を読んでる人は小説を読むことこそが読書と、ビジネス書を読んでる人はそれを読むことこそが読書と、専門書を読んでる人はそれを…………そう、"読書"とひとくちに言ってもそれぞれがまったく違う意味でその言葉を使っているのだから。
(そして私はビジネス書や自己啓発本を読んでる人と共通のポイントが自分にあるとは思えないのだから)
だから「趣味は読書です」は、「m5はmjj〆9」と意味は同じなんです。(意味のない文字を連ねてるのと同じってこと)
ここででも「趣味は映画鑑賞です」にしたって、難しくて。
今までこれで成功したことないんですけどわかりますか?
マッチングアプリにかかわらず、
相手「なにみるんですか?」
私「洋画が多いです!そちらは?」
相手「邦画です」
が 多くて。
でもだからと言って、
相手「あ、自分も洋画みます!」
ってなると、私がそんなに映画通ではないので、「あ、え、あ、、シラナイミタコトナイごめんなさい」になってしまう、から、もう、言わないことにしているわけなんです。
趣味は映画鑑賞もボツ。
あと好きなこととかやってることで言えば(やってないことよりやってることを言うほうがいいから)、
散歩・ジャニーズ(やってることではなく好きなこと)・食事・飲酒・家で1人で歌って踊ること・文章を書くこと
ぐらいなわけなんですよね。
あれ…………?
私というのは無趣味か?
というか趣味ってなんや、
ただのコミュニケーション促進剤やろ。
〇〇してますで所属アピールして同じ所属の人見つけるためのやつやろ。
まあいいや、じゃあもうこれでいくと
「あやです。24歳です。出身地は奈良ですが愛着は大阪のほうにあります。
好きなことは散歩と飲酒です。」
順調!それらしくなってきた。
とくに「出身地は奈良ですが愛着は大阪のほうにあります」という長めの文章を入れることにより、時間稼ぎと引っ掛かりができた。
でも好きなこと、散歩と飲酒って。70代男性やん。
70代男性との会話の糸口いらんな〜。
まあいいや。あとなんかひとつふたつ欲しいな。
みんなやったらなに付け加える?
名前、年齢、出身地、趣味のあとに。
好きだったインターネットサイトとかはどう?
私は、小学生か中学生くらいのころ、素人がアップする漫才のネタ帳ブログをひたすら読んでたよ。
でもそれを自己紹介で言ってもなんのこっちゃか〜。
好きな野菜?
好きな野菜はモロヘイヤです。味とかじゃなくてお鍋やスープに入れるとすべてをネバネバにしてしまうところが、いいと思うからです。
嫌すぎる…………。
好きな時間と嫌いな時間!
好きなのは夕方です。所帯染みた匂いが街に漂ってノスタルジーな気持ちになるし、空の色が綺麗だからです。
苦手なのも夕方です。曖昧でいろいろぼやけてなんかよくわからなくなるからです。
同様の理由で、好きな季節は夏と冬、苦手な季節は春と秋です。くっきりぱっきりしてないと今がどんな季節か見失って不安な気持ちになるからです。
こんなに長く喋れませんし誰も私の話をこの長尺で聞きません。
無難に好きな言葉とか座右の銘かな〜。なんかアイドルっぽくなってきた。
でもこれとくにないねんよな〜。
好きな言葉………好きな四字熟語……は、沙羅双樹。理由は言うと楽しいから。
でも、これは言ってないのと同じぐらい意味ないからな〜(自己紹介というのは端的に引っ掛かりのある言葉を言わないと意味がなく、だめであるため)。
曼珠沙華も好き!やけどなんで仏教色強くなるんかな〜、あと四字熟語じゃないか。
座右の銘そろそろ決めとくか。人生においてそういうフェーズに入ったかもしれへん。
座右の銘は〜〜〜〜〜
「ポジティブなことは口に出せ」
ん〜、パッとせんな〜。
そもそも座右の銘にカタカナ入ってるのが説得力ないもんな〜。
「いつでも自然体。」
いや〜〜〜
なんか無印良品着てそうで嫌やな〜。
何が嫌って、最後の句点が嫌やな。ジャム煮てそう。家庭菜園してそうやし、育ててる作物に虫ついてても「虫が食べて美味しいってことは、体にいいってこと。」って言いそう。
麻のワンピースの微妙な色違いを5着持ってそう。
子どもの前髪を上の方でぱっつんにしてそう。自分の前髪もそうして、おまけにヘアバンド巻いてそう。麻の。
座右の銘、
「人に優しく、その倍以上自分に優しく」にしようかな。
なんか小学生用の漢字いっぱいでてくるし良さそう。
自分に優しくできない人は見ててしんどくなるのでね。
決まり!!!
じゃあ私の自己紹介は、
「パスタです!5歳、富士山から来ました、でも酸素は濃い方が過ごしやすいですね。
趣味は餅つきとそうめん投げ、座右の銘は"パパラッチ、三人寄れば大丈夫"です。よろしくお願いします。」
にしまーーーーーすおやすみ〜〜〜〜〜