高松。
私は、高松が好きだ。
日本の街で、暫定一位と言ってもいいほど好きだ。
もちろん淡路島や沖縄なんか、リゾート地を持ってこられると弱るけれど、普通に住む場所としての普通の街としては、高松がだんぜん、大好きだ。
家族で3回くらい、ひとりで2回くらい訪れている。しかしこんなに好きになったのはやっぱり、ひとりで訪れてからだ。
生活が違うのだ!!!
おうどんがあんまりにも、近くにある。
もちろん、香川がうどん県であるということは日本国民ぜんいんが、完璧にまるっと知っていることであるし、したがって香川県にはたくさんの おうどん屋さんがあることも、みんな知っている。
み〜んな、知っている。
しかし、知っていることと実感することは違う。
あの人たちの生活!!!
セルフスタイルの、気軽なチェーンめいた内装の飾らない、おうどん屋さんがそこら中にある。
老舗の質素な、背もたれなしの椅子が並ぶ、釜の湿気でもくもくの、おうどん屋さんがそこら中にある。
街中から少し離れたところに、お座敷も設けられた、地元の人で行列のできる、おうどん屋さんがそこら中にある。
とにかく、どんなスタイルで、どんな価格帯で、どんな時間に開いていようと、とにかくたくさんのおうどん屋さんがある。
そしてそこでは、黙々とみんなが、街のみんながおうどんを啜っているのである。
スーツ姿の人が、作業着の人が、OLさんが、そろってみんなずーずーずーずーおうどんを、啜っているのである。
こんなにたくさんあるおうどん屋さんの、どれひとつとして潰れないのである。
朝早くから、7時前から、みんなふつうに2玉とか食べるのである。
天ぷらとかも添えるのである。
お店にはテレビが流れて、みんな、でも、見る暇もなく啜るのである。
異様に安いおうどんを、黙々と。
その、あらゆるスタイルのおうどん屋さんの、スツールに腰掛けるとき、
いただきますと言ってお箸をおうどんの丼にぶっこむとき、
えもいわれぬ幸せを感じるのである。
街のなかに入れてもらえたような、忙しなくおうどんを啜るこの街の人々の、仲間にしてもらったような、私もこの大きな流れの一部、というような。
そして私もここに住めば、高松に住めば、
毎朝おうどんかっこんで、どこかへ出掛けていけるのだろうかという、淡くて妙に、地に足のついた想像。妄想。おうどんのこんなに近くにある生活。
それだけでなく、海があること、公共交通機関が整備されていること、自転車文化が染み付いていること、チンチン電車まであること、街が綺麗なこと、商店街がたくさんあること、など、私が高松をこんなに好きな理由はたくさんある。
でもやっぱり、生活があんまりにも違う。
異国情緒さえ漂うほど違う。
そのことが、おうどんの素晴らしいおいしさも相まって、香川県の最大の魅力となっているのだろう。
何回か行かんとたぶんわからん。
香川にハマった人、いらっしゃったらご一報ください。良さについて語り合いましょうね。