ラブ・高松・ザベスト【16/31】

 

 

 

高松。

私は、高松が好きだ。

日本の街で、暫定一位と言ってもいいほど好きだ。

もちろん淡路島や沖縄なんか、リゾート地を持ってこられると弱るけれど、普通に住む場所としての普通の街としては、高松がだんぜん、大好きだ。

家族で3回くらい、ひとりで2回くらい訪れている。しかしこんなに好きになったのはやっぱり、ひとりで訪れてからだ。

 

生活が違うのだ!!!

おうどんがあんまりにも、近くにある。

もちろん、香川がうどん県であるということは日本国民ぜんいんが、完璧にまるっと知っていることであるし、したがって香川県にはたくさんの おうどん屋さんがあることも、みんな知っている。

み〜んな、知っている。

しかし、知っていることと実感することは違う。

 

あの人たちの生活!!!

セルフスタイルの、気軽なチェーンめいた内装の飾らない、おうどん屋さんがそこら中にある。

老舗の質素な、背もたれなしの椅子が並ぶ、釜の湿気でもくもくの、おうどん屋さんがそこら中にある。

街中から少し離れたところに、お座敷も設けられた、地元の人で行列のできる、おうどん屋さんがそこら中にある。

 

とにかく、どんなスタイルで、どんな価格帯で、どんな時間に開いていようと、とにかくたくさんのおうどん屋さんがある。

そしてそこでは、黙々とみんなが、街のみんながおうどんを啜っているのである。

スーツ姿の人が、作業着の人が、OLさんが、そろってみんなずーずーずーずーおうどんを、啜っているのである。

こんなにたくさんあるおうどん屋さんの、どれひとつとして潰れないのである。

 

朝早くから、7時前から、みんなふつうに2玉とか食べるのである。

天ぷらとかも添えるのである。

 

お店にはテレビが流れて、みんな、でも、見る暇もなく啜るのである。

異様に安いおうどんを、黙々と。

 

その、あらゆるスタイルのおうどん屋さんの、スツールに腰掛けるとき、

いただきますと言ってお箸をおうどんの丼にぶっこむとき、

えもいわれぬ幸せを感じるのである。

街のなかに入れてもらえたような、忙しなくおうどんを啜るこの街の人々の、仲間にしてもらったような、私もこの大きな流れの一部、というような。

 

そして私もここに住めば、高松に住めば、

毎朝おうどんかっこんで、どこかへ出掛けていけるのだろうかという、淡くて妙に、地に足のついた想像。妄想。おうどんのこんなに近くにある生活。

 

それだけでなく、海があること、公共交通機関が整備されていること、自転車文化が染み付いていること、チンチン電車まであること、街が綺麗なこと、商店街がたくさんあること、など、私が高松をこんなに好きな理由はたくさんある。

 

でもやっぱり、生活があんまりにも違う。

異国情緒さえ漂うほど違う。

そのことが、おうどんの素晴らしいおいしさも相まって、香川県の最大の魅力となっているのだろう。

 

何回か行かんとたぶんわからん。

香川にハマった人、いらっしゃったらご一報ください。良さについて語り合いましょうね。