マリファナを吸ったことのある男の子の方が好きだ。
非常識なほど早くからお酒を飲み始めた男の子が好き。
車通りのない赤信号を、一緒に渡ってくれる男の子が好き。
でもやっぱり、この「好き」を表すにはマリファナだと思う。
これはとても大事なことだ、私にとって。
マリファナは日本ではまだ浸透していない……どころか合法化もされていない。人々の認識は遅れていて、覚醒剤やなんやと同じくらい依存性のあるヤバい薬だと思っている人もいる。
吸ってることがバレれば通報されて警察のお世話になることになる。立派な犯罪歴となる。
それを、理由はなんだかわからないけど、吸ったことがあるというのは素敵なことだ。
自分の頭で考えて、自分の摂取するものについて、法律や間違った常識のそとで、判断できるということ。これは大事だし、なによりも、楽しむことが好きということだ。
新しい経験を楽しむことができるということ。自分の判断で、立派に。
早くからお酒を飲み始めることは法に反することだし、赤信号を渡ることもそう。
なによりも、それを知っていることが大切だ。
世の中において、お酒を飲んで酔っ払うとどうなるか早めに知っていること、そのやり方を早い段階で習熟すること、車通りのない信号を守らなくても誰も事故には遭わないこと、そのために周りをよく見ておかないとならないこと、マリファナを吸ってどういうふうに気分がよくなるか、それでどんな気持ちになるかということ、たくさんの、お父さんやお母さんが教えてくれず自分で体験するしかないことごとを、知っているということが人生を生き抜くツールになる。
お父さんもお母さんもいなくて、誰も何も教えてくれない世界で、生きるための、ひとりで立ってぜんぶ食べて、お腹を壊しても自己責任の、世界で、生きるための力に。
そのツールを持っている人を私は好きだ。
ついていって安心だし、なによりも私もマリファナを吸ったことがあって、お酒を非常識なほど早くから飲み始めたし、赤信号は渡るから。
誰か私と一緒に無敵になってくれないかなあ。
私の好きな人はぜんぶやるんだけど私を好きではないので。